投稿者アーカイブ: 藤丸 直行

講演

 あるところから「わが社の人材育成」について一時間講演の依頼があり、先日その日を迎え何とか時間通り終えることが出来た、もともと不慣れなことはしたくないが、後継者育成する上で若者たちになんでも良いことは断らなくて経験しなさい、私も頼まれた事は引き受けるから・・・そんなことを言って来たから引き受けた、昨今は難聴になり話すのは良いが聞き役となれば、聞き取れないことが多い、会議で社員の会話も聞き取れなくて、誰彼となく解説をしてくれる皆に解かって自分だけ解からないのは非常に辛い、だから電話の声が必然と大きくなる、自分が聞こえないから相手も聞こえないんじゃ〜なかろうかと・・気が付けば大きな声になっている(結構こういう人って多いですよネ)、わが社の事務職はうるさいsmileyほど電話や会話の声が大きい、特に総務部長の佐藤はとてつもなく大きな声をしている、会議の時に生の声が大きいのにマイクを入れるので周りの者はたまったもんじゃ〜なイ、最初の一声を払った後みんなのけぞっていた、本人はそんなことが解からずしゃべり続けている、まア小さな声でいうより良いか、そんなことを思いながら自分も大きな声を出している。

 先日の講演は途中から前列にいた年輩の方がよく質問をしてきた、何回も質問するので講演担当者から一報が入った、今思えば建築用語や専門用語それに大分弁丸出しで解かり難かったと思っております、私の後に基調講演があり、なるほどプロジェクター等を使用するともっと解かり易かったと今更思っています、多くの方が来て頂いたのに大変反省をしている昨今です。

 

住宅の構成(床)

 通常木造の床には1・2階がある、昔は大引きの上に松板厚さ18〜21の幅広板を並べてその上に畳を敷いたりそのまま板敷にして、蚕を飼ったりして仕事場を兼ねた住まいが多かった、1年に一回は畳をあげて干し、床板を取って床下の換気をよくしていた、2階はあっても中2階が多い、古民家はこの中2階の板を外して吹き抜けにすると、何とも言えない歴史を刻んだ趣きのある空間ができる。(この時に高断熱施工をしなければ冬寒く、夏暑い)

さて40年前位は大引きに米松の根太45×45、30年前は大引きに米松の根太45×60、それどれ@303で入れて、新建材の床板(フロアー合板厚12mm〜15mm)単板貼りが多かった、30〜40年もたてば床板の接着剤が切れて床板がへこむヵ所が良くあります、この場合は根太と根太の間にもう一本入れると殆ど治ります。

 わが社は大引きに檜45×60の根太を打ち、下地に縁甲板のC品を斜め貼り(水平応力を考慮して)、仕上げに15mmの檜無垢の縁甲板を貼ってあったが、此処4年前から根太なし工法に変えた、長期優良住宅を施工した際構造用合板(24〜27を使用しなければならない)を使って違和感を感じた、その後すかさず無垢の板33mmを下地にして床板の仕上げを行ったら、床が今まで以上に縦横共丈夫(断面係数が大きくなった)になり、床鳴りがしないし、木材費も安くなり、施工も早くなった、何より上棟日に下地床が出来るので安全性が向上した。

30年前に根太なし工法を2件ほど自分の考えで施工したことがあったが、下請の為その会社が取り入れなかった、当時画期的で特殊合板であったから価格が折り合わなっからしい、この時期は全て合板だらけで、無垢材を使用する考えがなかった、合板は何時かは接着剤が切れるので、構造材の合板や積層材は使用したくない。(通常の住宅は構造用合板や積層材を殆どが使っている)

 わが社は後継者育成のため無垢物を使っている、床板の合板は素人の方でも貼れるが無垢の縁甲板をきれいに貼るのが難しい、まず全ての梱包を解き一枚一枚色や柄、元やうらを見ながらこの商品はどこが1番あっているか瞬時に選択していく、1枚も同じものがないから、人によって出来栄えはみんな違ってくる、修行を積むほど素晴らしいものができる。

 

 

 

住宅の構成(桁・梁)

 桁・梁は施工上1番難しい部分です、通常梁を支える横架材が桁です、梁は陸梁・丸太梁・太鼓梁・登り梁等の呼び名があります、桁も軒桁・妻桁・間仕切り桁等の呼び名がありますが太鼓梁を除いて桁と呼ぶことが多い、この桁材も20年前は米松が主流で中には地松と言って日本の松を使う人もいました、米松は虫が入り難いが粘りが地松に比べるとない、地松は長年のうちには辺材(シラタ)部分に虫が必ず入るし、真っ直ぐな良材が取れない欠点がある、ともあれ今は森林県故地産地消の時代で県産の杉材を多く使っている、荷重を支える意味では米松・地松に劣リますが、その分材積を大きく取ったり、構造に適した木選び、又木拾いするとひけはとらないが、何といっても木選びが1番難しい、全く同じ大きさでも一定の荷重をかけた時にたれ具合が全然違う、こういう事を良く実験でやっている。

全ては熟練して棟梁になれば、この材はどちらが上か下か何処に使ったら最的なのか分かってきます、木が分からないと墨付けができない、今殆どがプレカットに移行しています、1番大事な構造部分を熟練工でない人に機械任せでは心苦しい、一寸前の事でした間仕切りの建具が外れて、いくら良くしても治らないから見てほしい、と云われて8年経った住まいにお邪魔した、2階間仕切りで図面を見ても大きい材を使っているのに、何故かと思い天井裏から覗いてみたら、その材は癖のある材で上下を間違えて使用してあった、端から1000ぐらいの所が最大10mmも垂れていた、原因は機械によるプレカットでその材を見極めることができなかった事とグリーン材を使用していたために年(乾燥するたびに)が経つにつれて下がってきた、こうなるとどうしようもない横から一本〜2本補強するしか手はない、勿論下に柱を立てればいとも簡単に誰でも出来るが、いらんところに柱が立つことになる。前にも書いたと思うがプレカットは荷重を支える面では熟練工の60%の能力しかない、精度はプレカットの方が優れていますが、1〜2年後の乾燥や化粧材の見せ方によって伸縮を考えて墨付けしますので設計図の寸法より大きくなることが殆どです。こうした横架材は100年以上もちますので、主要な継手・仕口金物はSUS304のステンレスボルト5分を使用しています。

 当社は古民家や増改築工事が施工出来る後継者の育成のために手刻み・手加工をしています、それに乾燥材と無垢材100%を使用しますので価格が坪当たり平均56万(屋外給排水・照明器具含む)前後それに消費税と設計料と諸経費が約2割ぐらいかかります。

*含まないものカーテン工事・外柵工事・浄化槽工事

住宅の構成(柱)

 柱は昔と大きく変わった所は坪当たりの本数が倍増えたことです、材種は昔から米栂か杉が多かった、日本にも霧島栂がありましたが、殆ど米栂ですその次に檜の柱ぐらいです、この3種類で後は積層材(エンジニアウッド)で、化粧柱はこの積層材に薄くスライスした本物(檜・杉)の材をラミネートをしたものです、(大手やハウスメーカの化粧柱はこの種です)一般の工務店もこのタイプの柱をよく使っています。

 今木造の大型ビル建築が建つようになりましたが、柱や梁・桁と呼ばれる構造材はすべて積層材です、その理由は均一な強度を持った大断面の構造材が揃うことです、しかしこの積層材が100年以上の耐用年数が問題です、コンクリート建築が100年持つということで戦後普及しましたが50年そこそこで建て替えを余儀なくされています、積層材は本格に出始めて60余年ぐらいしか歴史がない(ユリア樹脂系→レゾルシノール樹脂系やイソシアネート系接着剤を使用)、床材の合板は長くて35年しか持ちません、ほとんどが剥離していますだからこうしたエンジニアウッドと呼ばれる木材は人が為すことで「偽り」の木材で、到底私たちが使用している「無垢」の木材を上回ることはないでしょう、なんといっても調湿の性能面では比較にならない、又調湿するような積層材であったら剥離が激しく大変なことになってしまいます。

 

 200年以上経った無垢の柱は沢山身近にあります、お寺とかに行くと外部に露出したしっかりした柱を見かけます、住宅の内部に使っている材はおそらく300年以上耐久性があるもと思われます、わが社の外部化粧柱は防腐・防虫した加圧注入した材を使用しますので、安心できます。

 柱の大きさは105mm(3.5寸)角が普通で、当社は120mm(4寸)角を使用している。それも大分方式乾燥材を開発当初から使用しているが、当時の大分方式乾燥材は建てた後にひび割れやねじれを起こしたことがあった(ひび割れしても強度的にも問題はない)、今は柱のひび割れも殆どなくなり美しさが一段と増してきた。

 大黒柱を時々好む御施主様がいます、角材で210mm〜270mm長さ6m前後(自然乾燥2〜6年物)・丸太末口240mm長さ6m〜7m(自然乾燥2年〜4年物)は何時でも揃う様にしています、杉の角材は120年物の大分中津産です。

 

 

住宅の構成

 住宅は基礎・土台・柱・梁(桁類)・床・天井・屋根で出きています、今は創エネで太陽光発電システムも住宅の一部になっている。

基礎はべた基礎・布基礎に分かれる、今はほとんどが「面」で荷重を支えるべた基礎がほとんど、違いは鉄筋の配置・数・太さとコンクリートの強度・基礎断熱か床下換気、あとは施工業者によって大きく変わります、地盤は事前に調査するので心配はしなくてよいが、コンクリートを打設する前の転圧作業が基礎の1番大事な所です、転圧をしっかりしていないと傾いたりクラックが入ったりします。                                              

 昨年トンネル内の天井落下事故があったが、ボルトを固定するケミカルアンカーの手抜き、ケミカルアンカーを上向きに1本打つだけでも大変技術を有するのに何百も打つとなれば熟練工の絶対手抜きしない人に施工をして貰うのみ、落下事故は完全に施工ミス、同じ仕事を繰り返せば手抜きしないにも、安易になってしまうことがあるから危険、当社の基礎屋さんはいつも真剣に転圧をしているので信頼がおける。

 

 土台は檜の120角で芯持ちのAD乾燥材(自然乾燥)を使用する、檜は杉と違ってすぐに乾燥するから、グリーン材で購入しても早く使える、ただ木材は切り倒す時期(盆過ぎから年末までがベスト)があるので良い時期に切ったものを買う、色艶が良く、虫が入りにくい利点がある、芯を持っているので檜の場合は乾燥と同時に大きな音を立ててひび割れを起こす、強度面では全く関係がない、寧ろひび割れが起きたぐらいが乾燥の目安になる、ひびが入ると木の硬さが全然変わってくる。

 土台にもっとも良い物はなんといっても青森ひば、米ひばも良いが、青森ひばは米ひばより匂いが強烈にきつく虫を寄せ付けない、栗も腐れ難いがながいものが取れない、昔は割と椎の木が使われていた、檜が主流になったのが35年〜40年前ぐらいかな、それでも多くは米栂に加圧注入した安価木材がほとんど、今でも使用している人は多いい。

 檜はグリーン材の時に重ねて置くと直ぐにカビが生える欠点がある腐朽が早いということです、ですからいくら檜といっても重ねて保管すれば大変なことになってしまう、梅雨時期の保管は周りが乾燥している事が檜にとって大切な事です、杉は梅雨時期のジメジメしたところにグリーン材を置いてもカビらない、寧ろ割れを防ぐ意味ではジメジメしたところで2年ぐらい置いておくとゆっくり自由水が取れ結合水が減っていくので割れにくい。

 檜は1度乾燥すると硬くなり、圧縮を有する土台には適合です又ヒノキチオールはシロアリなどの忌避効果があるから利用する。かといってシロアリが絶対に入らないとは言えない、周りが雨漏りしていると檜も食べられる、だから毎年基礎の周りを挨拶方々点検をしているのです。                                                つづく