新年度

 後継者育成や社員教育に何が難しいかは、今から行うであろうことに皆の意識改革が必ず必要になるのですが、考えを一つにする意識改革が1番難しいと思う。特に新入社員の改革は育った家庭環境・地域環境・教育においてもちがう、大分県は昔小藩が多く言葉も違えば考え方も違う、それをいまだに引き継いでいるようです、中学生の職場体験を10年前から近くの2校を受け入れている、距離にして4〜5㎞ぐらいしか離れてなくても考えも違うし、躾は相当違う、躾のよくない中学校は先生たちも車から降りない人もいるし、迎えに来てもあいさつがない、『お世話になりました』は死語になったのか、当たり前のことが言えない、後継者育成では、当たり前のことを素直に言葉で表す又忘れないこのことが1番大事と思う。

 我が社の若者は上棟の直会などで御馳走になったあと、何か月過ぎてもその志を忘れるなと言ってあるし、本当の『倍返し』を言葉(先日は御馳走様でした)だけでなく実行に移しなさい、と何回も繰り返し言っている。16歳の頃両親からどこに行っても『お世話になります』『お世話になりました』と言わんとだめぞ・・この言葉しか唯一しつこく言われたものない、今思うとこの言葉には深い意味と思いがあるようです。若い棟梁達の意識は今日やっと開花したように思うが、さあ〜今期も新入社員たちとの葛藤が始まった。

失敗だらけのすまいづくり

 社是として木の文化の継承と後継者育成を掲げて30年近くなった、社員や棟梁が育ち、着工件数も増えたので、ある程度の成果は上がったものと思うが、すまいづくりのみを考えたならば今日まで失敗だらけのすまいづくりです。1番多い失敗は技術的なことより、木材の収縮や変形のものが多い、1〜5年自然乾燥していても材によっては予想外に変形する事もよくある、上方より4年物の乾燥材を仕入れて養生シートを剥がすとあっという間にヒビが出てくる、特に肌が美しいが○○産の磨き丸太は要注意、乾燥材と言われて買っても後から割れが入ったりする、木材の失敗が1番で人的なミスも当然ある。

 一作業にしても棟梁になったものが施工をすればさほど失敗はないが棟梁になる前は失敗は沢山ある、又あって当たり前と思っている、外断熱の上からのビスの止め方が悪かったりして新築引き渡しから雨漏りを起こしたこともある、似たようなことがほかにもある、何千ものビスを1本1本チェクするのは到底不可能、こういう施工をしなさいとマニアルはあるがすぐに忘れてしまう、反省会の会議でも明日になれば忘れる子もいるのが現状です、すべての人が優秀とは限らない、又協力業者の施工ミスで問題が起きたことも数ある、よその土地を拝借して叱られたり壊したり、いろいろな作業ミスがある、引き渡し時にガラスに傷が入っていたり、かべに傷が入ったり、瑕疵の場合は解り難い、しかし構造材の小屋組みに関しては100年以上長持ちすると思う又70年物の材を使って70年は当たり前のこと、仮に70年のものを100年持たせたとして30年が我が社の技術力ということになる、今は70年から200年つまり130年の技術力なるよう修練している。

 地球環境を強く思うのならば、何百年も2酸化炭素を多く固定する小屋組みでなければ意味がない、それには昔ながらの手刻み・手加工と木材の目利きできる優秀な大工のみです。

今後も失敗を重ねながら母なる大地地球を想う若者を育てていく。

大工

 

 大工が全国で約40万人いる、そのうち50〜60代の方が60%だそうです、残る40パーセントの中で木を見て墨付けのできる大工はほんの僅かsmiley、毎日木材と葛藤をして本当に木がわかるのは30年はかかるでしょう、これも確実ではない、木を見ることができるのは、ただ毎日毎日木を熟すことしかないと思います、自然の材料だから同じものは1本もない、多く経験を積むことで似たか寄ったかのものと出会うぐらい、本当に健康や省エネ・環境に良いといっても、この木材を使い熟せるまでが大変です、構造材を国産材に変えて約25年たった、大工職人の成長とともに良い木材も入手出来、昨今の技術はかなりのものと思う、木の住まいの安全性はすべて大工職人の手に委ねることになる、責任はだれよりも重いから真剣になって修業を積み希少な大工職人になって、本物の住まいを造り続けてほしいと願う。

 今年の春は5名の若者が大工修業に来る、どうか途中離脱しないで大工棟梁を目標に頑張ってほしい。

 

 

 

 

2017年(平成29年)

 昨年の書初めに「魅力」と書いた、一年のキーワードで魅力ある会社や組織・個人づくりを目指した、己が未熟だから昨年のキーワードは大変であった、その証拠に書初めの『魅』の字の中のムが抜けていた、誰も解らず随分後でわかった(笑)、今年は「御恩」を自らの心のキーワードとし、仕事をするのではなく、「させて頂く」このことを毎日提唱してまいります。

 今年は大工・左官を目指す若者が5名入社します、一人前の棟梁・豊かな心の人になるよう厳しい指導を行います、又昨年は途中離脱がない年でしたが竹本棟梁が卒業しました、今年語学留学を目指してのことです、これからは国際社会身近になった海外の人たちとの交流も多くなるでしょう、こうした理性は職人でも大切です惜しみない協力をしたいものです。

 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2016年の終わりに

 一番緊張する場面に地鎮祭時に、「玉串奉奠」の儀式がある、玉串をお供えして拝礼するほんのひと時の場面です、結界の中で工事中の安全祈願と、二拝・二柏手・一拝をするのですが、どうも神々の前では柏手を毎回よく打てない、頭をカラッポにして邪心を捨て練習までするのですが、本番になると神官さんのような心地よい同じ音は続かない。緊張の場面も今年は沢山いただき、それなりに安全祈願を行った故、大きな怪我がなく無事に年末を迎えられた、これが後継者育成の中で何よりも一番嬉しいことです、親御さんから見れば当然怪我なく一人前になって帰ってくると信じているのです。今年は途中離脱もなく若者達が「心技体」共ずいぶん成長してくれた、その中で飯尾君と中村君に棟梁の証と称号を与えた、二人とも今年に入って辞令を出す予定でした。

 魅力ある会社や組織には良き人材が集まるものです、来年も5名程入社が決まっている、良き人材に育てるにはまず己を磨かなければならないと思っています、今年以上に精進を続けて心のこもった高性能な本物のすまいづくり「木の文化の継承・後継者育成」に邁進いたします、  今年もいろいろな方々に支えられ無事にここまでこれたことに心から厚く御礼を申し上げます。

                                      ありがとうございました。