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台風シーズン

 今年も台風シーズンに入った、子供のは台風が来ると学校が休みになったり、風で柿や栗・梨などいろいろなものが落ちたり、増水して田んぼに魚が上がったりして、特に魚の手掴みは最高の楽しさでした、用水に胸までつかり後ろ下がりしながら登ってくる魚を捕まえる、ひとりでに手のひらに入ってくるという方が正しいかな、その時の感触は今でも忘れない。

 手掴みした中で鯉の55センチが一番大物だった、確か小学生の5年ごろと記憶している。それらを取ったり食べたりするのが楽しみでした、だから台風が来るといつも浮き浮きしていた、当時の子供は皆同じ気持ち。

 今年で2度目の台風、台風が来ると被害や死傷者が出たりいろいろな弊害をもたらす、前回は養生のみですんだ、今回も待機状態で台風がまともに来ると数百万の出費が掛かる事もある、点検は勿論の事被害にあった場合の手直しや保証などで人員がそちらに取られる、工期は遅れるし心配事が山積みになる、昨今は環境の変化で大型で非常に強い台風が増えている、レイテ沖のような風速100mは時速360kの風、どんなに頑丈に造ってもふっ飛ばされる、地下に潜る以外は安全とは言えない地震より怖いのは風の強さです、今後の住宅は地下室付きが流行ってくるかもしれない、当社の風対策は建築基準法以外に1棟当たり120トン以上の引き抜け防止のアンカーボルトを埋設しているし、タルキ軒鼻ビスは1本当たり1トンの引き抜け防止ビスを全部に使ってある、ここまで木造住宅で補強をやっているところはまずないでしょう、地震は怖くないけど風の力は本当に恐ろしい。

 

 

 

 

 

住宅の構成(天井・屋根)

 良くリフォームやリノベーションを頼まれて現場に行く事がある、最初に現場行って見るのは屋根の状態を見る、何故かというと屋根の状態で大体のレベルが解かります、大抵屋根の平(屋根で勾配の付いた広い部分)部分の中が垂れている所があります、それが広い部屋の真ん中か構造材が小さいか腐食によるものか傾きによるものか判断します、又棟瓦がどんな状態であるかで施行者や大工の技術のレベルが大体解かります、その結果でリノベーションやリフォームする価値があるのか内部を見らないで解かる、内部は高価な材料だけを見せていることが多いからあてにはならない、屋根という大事な住宅の部分がいつも見えるから、私たちの建物は経年の変化を伴わず屋根の状態を美しく保つ様、太い木材や特殊屋根地構法に力を注いでいます。

 30年程前屋根仕舞をしていたころ不思議な現象があった、2階屋根を歩くうちに足が自分の意志に反して軒先の方に進んで行く、このまま進むと堕ちて命が危ない、そんな気味の悪い何かに取り憑かれたかのような、非常に怖い思いをしたことがあった、だから棟上げをして屋根仕舞が終わるまでが心配になる、今でも現場で作業をしながら皆の動きを注視している、高所は非常に危険なところ上棟日にお神酒を今も戴くのは清めの為である。

講演

 あるところから「わが社の人材育成」について一時間講演の依頼があり、先日その日を迎え何とか時間通り終えることが出来た、もともと不慣れなことはしたくないが、後継者育成する上で若者たちになんでも良いことは断らなくて経験しなさい、私も頼まれた事は引き受けるから・・・そんなことを言って来たから引き受けた、昨今は難聴になり話すのは良いが聞き役となれば、聞き取れないことが多い、会議で社員の会話も聞き取れなくて、誰彼となく解説をしてくれる皆に解かって自分だけ解からないのは非常に辛い、だから電話の声が必然と大きくなる、自分が聞こえないから相手も聞こえないんじゃ〜なかろうかと・・気が付けば大きな声になっている(結構こういう人って多いですよネ)、わが社の事務職はうるさいsmileyほど電話や会話の声が大きい、特に総務部長の佐藤はとてつもなく大きな声をしている、会議の時に生の声が大きいのにマイクを入れるので周りの者はたまったもんじゃ〜なイ、最初の一声を払った後みんなのけぞっていた、本人はそんなことが解からずしゃべり続けている、まア小さな声でいうより良いか、そんなことを思いながら自分も大きな声を出している。

 先日の講演は途中から前列にいた年輩の方がよく質問をしてきた、何回も質問するので講演担当者から一報が入った、今思えば建築用語や専門用語それに大分弁丸出しで解かり難かったと思っております、私の後に基調講演があり、なるほどプロジェクター等を使用するともっと解かり易かったと今更思っています、多くの方が来て頂いたのに大変反省をしている昨今です。

 

住宅の構成(床)

 通常木造の床には1・2階がある、昔は大引きの上に松板厚さ18〜21の幅広板を並べてその上に畳を敷いたりそのまま板敷にして、蚕を飼ったりして仕事場を兼ねた住まいが多かった、1年に一回は畳をあげて干し、床板を取って床下の換気をよくしていた、2階はあっても中2階が多い、古民家はこの中2階の板を外して吹き抜けにすると、何とも言えない歴史を刻んだ趣きのある空間ができる。(この時に高断熱施工をしなければ冬寒く、夏暑い)

さて40年前位は大引きに米松の根太45×45、30年前は大引きに米松の根太45×60、それどれ@303で入れて、新建材の床板(フロアー合板厚12mm〜15mm)単板貼りが多かった、30〜40年もたてば床板の接着剤が切れて床板がへこむヵ所が良くあります、この場合は根太と根太の間にもう一本入れると殆ど治ります。

 わが社は大引きに檜45×60の根太を打ち、下地に縁甲板のC品を斜め貼り(水平応力を考慮して)、仕上げに15mmの檜無垢の縁甲板を貼ってあったが、此処4年前から根太なし工法に変えた、長期優良住宅を施工した際構造用合板(24〜27を使用しなければならない)を使って違和感を感じた、その後すかさず無垢の板33mmを下地にして床板の仕上げを行ったら、床が今まで以上に縦横共丈夫(断面係数が大きくなった)になり、床鳴りがしないし、木材費も安くなり、施工も早くなった、何より上棟日に下地床が出来るので安全性が向上した。

30年前に根太なし工法を2件ほど自分の考えで施工したことがあったが、下請の為その会社が取り入れなかった、当時画期的で特殊合板であったから価格が折り合わなっからしい、この時期は全て合板だらけで、無垢材を使用する考えがなかった、合板は何時かは接着剤が切れるので、構造材の合板や積層材は使用したくない。(通常の住宅は構造用合板や積層材を殆どが使っている)

 わが社は後継者育成のため無垢物を使っている、床板の合板は素人の方でも貼れるが無垢の縁甲板をきれいに貼るのが難しい、まず全ての梱包を解き一枚一枚色や柄、元やうらを見ながらこの商品はどこが1番あっているか瞬時に選択していく、1枚も同じものがないから、人によって出来栄えはみんな違ってくる、修行を積むほど素晴らしいものができる。

 

 

 

住宅の構成(桁・梁)

 桁・梁は施工上1番難しい部分です、通常梁を支える横架材が桁です、梁は陸梁・丸太梁・太鼓梁・登り梁等の呼び名があります、桁も軒桁・妻桁・間仕切り桁等の呼び名がありますが太鼓梁を除いて桁と呼ぶことが多い、この桁材も20年前は米松が主流で中には地松と言って日本の松を使う人もいました、米松は虫が入り難いが粘りが地松に比べるとない、地松は長年のうちには辺材(シラタ)部分に虫が必ず入るし、真っ直ぐな良材が取れない欠点がある、ともあれ今は森林県故地産地消の時代で県産の杉材を多く使っている、荷重を支える意味では米松・地松に劣リますが、その分材積を大きく取ったり、構造に適した木選び、又木拾いするとひけはとらないが、何といっても木選びが1番難しい、全く同じ大きさでも一定の荷重をかけた時にたれ具合が全然違う、こういう事を良く実験でやっている。

全ては熟練して棟梁になれば、この材はどちらが上か下か何処に使ったら最的なのか分かってきます、木が分からないと墨付けができない、今殆どがプレカットに移行しています、1番大事な構造部分を熟練工でない人に機械任せでは心苦しい、一寸前の事でした間仕切りの建具が外れて、いくら良くしても治らないから見てほしい、と云われて8年経った住まいにお邪魔した、2階間仕切りで図面を見ても大きい材を使っているのに、何故かと思い天井裏から覗いてみたら、その材は癖のある材で上下を間違えて使用してあった、端から1000ぐらいの所が最大10mmも垂れていた、原因は機械によるプレカットでその材を見極めることができなかった事とグリーン材を使用していたために年(乾燥するたびに)が経つにつれて下がってきた、こうなるとどうしようもない横から一本〜2本補強するしか手はない、勿論下に柱を立てればいとも簡単に誰でも出来るが、いらんところに柱が立つことになる。前にも書いたと思うがプレカットは荷重を支える面では熟練工の60%の能力しかない、精度はプレカットの方が優れていますが、1〜2年後の乾燥や化粧材の見せ方によって伸縮を考えて墨付けしますので設計図の寸法より大きくなることが殆どです。こうした横架材は100年以上もちますので、主要な継手・仕口金物はSUS304のステンレスボルト5分を使用しています。

 当社は古民家や増改築工事が施工出来る後継者の育成のために手刻み・手加工をしています、それに乾燥材と無垢材100%を使用しますので価格が坪当たり平均56万(屋外給排水・照明器具含む)前後それに消費税と設計料と諸経費が約2割ぐらいかかります。

*含まないものカーテン工事・外柵工事・浄化槽工事