後継者育成その7

 この頃は住宅誌や専門誌を収集しながら沢山の情報集めをしていた、若者達が根付きはじめた彼らに本当の育成とはを考えたらそこにはやはり「愛情」という言葉に繫がった、例えば上棟時の作業を考えたなら当然巾の広い構造材を使った方が歩きやすく、危険度は減るから必然と幅広(通常は105我が社は120)の材料を使用するとか、充填断熱材を入れる時や床下に入って床鳴り(当時は根太と根太の間に充填断熱材を入れてあった)の手直しをする際、暗い床下に電気をつけての作業は断熱材の微粒子が無数に落ちてくるのが分かる、吸ったり身体に着いたり決して良い物ではない、何とか良い断熱材はないか、台風時に雨漏りの手直し強風の中でシートを貼らなければならない危険な作業、瓦やその他の外壁材が仮に飛んでも2次災害の起き難い家、冬寒い・夏暑い・雨のとき工事し難い等、何とかせんといかん、それには外断熱しかないと思い、オリジナルの外断熱工法を行った、断熱材の性能(この当時はEクラスが最高でした)・強度・撥水・経年の変化、正直価格は考えてなかった、価格よりどうしたら彼等の安全性や作業効率に繫がるのかを考えた。

さて武津棟梁の墨付けや刻みは…というと、一年半とは思えないすばらしい出来でした、勘違いが少なく無駄な材料もなく、ただ一本2階の階段上の小さなつなぎ材が短く使えなくなり取り替えただけの記憶がある、思い切った人選に安堵感もあり、個性の違う優秀な若者達が永くこの業界に居座ってほしい思いを強く感じた。

墨付け作業は誰でも簡単に出来ない、この作業の人選は「すまいづくりの核」の部分、安易な墨付けをすれば大きな事故や怪我に繫がる、間違った時点で俊敏な応用が必要になる、経験だけでは出来ない作業、5年いても10年いても全部は任せられない人はいます。

人悶着やギクシャクしていたことは、若い人たちは墨付け作業など核の部分でも今度は自分の番だと思っていたからショックだったらしい、解る気もするが何でも早くやらせて良い人とじっくり時間をかけてしっかり基本を覚えさすほうが後々その人のためになる、後継者育成は一人ひとりのことを考えながら大事に建設に取り組んでいた。

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