27年前に建てた一部店舗付きの2階建てすまいは、ご夫妻2人の要望で広い屋上バルコニーがついている、当初出たてのFRP防水仕上げ、1階の外壁が今と同じ杉板張り、2階をモルタル塗りグラスト吹付仕上(今はジョリパット塗り仕上げ)、内部の床板や階段は200年以上経った高級木曾檜を使用、(今でもすごく美しい)壁は珪藻土を塗っている。後継者育成の中、若者(4名)中心で工事を行ったが、建て方から技術不足で思うように進捗しなかった、おまけに建て方の最中に兄弟の訃報が入り県外へ行く、建て方の最中に中途半端で御施主様には大変申し訳ないが現場を後にした。そんな現場でしたがご夫妻から御理解していただき何とか完成することが出来たが、引き渡しの後まもなくして台風が接近してきた、それ程大きくない台風でしたが、風通しの良いこのすまいは、横殴りの雨に逢い最悪の雨漏りがした、すぐに行って原因を調べたら板金と壁との間が怪しい、そこを直したがまだ雨漏りは止まらない、暴風の時だけ漏るとのことで御施主様ご主人と屋根裏に上がって見ると、軒裏の換気口から入っているようで半分つぶした、今度こそ大丈夫と思っていたが又台風が接近して、じわり水染みが発生した、直ぐに駆けつけ本当に申し訳なく謝罪をして漏水箇所を見て原因調査をしてみたが直ぐにわからず、高圧洗浄機で壁等に噴射しても雨漏りがしない、しかし台風の時だけ必ず漏る、やっと見つかったのがサッシの開き戸のラッチの穴から入っているのが解った、それを直して今度こそ大丈夫だろうと思った、そして台風が来るたびにこちらから状況を聞く、何度か台風が来て漏水しなかったので安心していたら、ある年強い台風が接近して夜中に水染みの電話があった、又かと思いながら直ぐに駆けつけてすごい暴風の中で原因を調べた、この強い台風で雨漏りは2~3棟あったので手分けして現場に行った、私はこの現場で申し訳ない状態の中、御施主様自ら暴風の中で調べた、相当時間が経った後、壁に薄いヒビが入っているのが解った、御施主様と確認してヒビが入った箇所を測定、夜の暴風の中では手直しが出来ないので、夜明けに来ることを了承して帰ることにした、あくる日に再び現場に数人で行ってみると昨夜のヒビがなくなっているのです、寸法まで取って帰ったから位置がわかるが肉眼ではどう見ても解らない、暴風雨の強さを改めて知った。最初の雨漏りから相当年月が経った、最後は足場をかけてきちんと塗り替え全面吹付を行い、バルコニーもFRPも上塗りをかけて詫びた。その後は御施主様のご主人と釣り友達になり何回も一緒いった、また奥様からは長引いて失態を犯したにもかかわらず、色んなことで随分かわいがってもらった、夜中に行くと雨漏りの最中でも決まって夜食を出してくれた、本当は罵声が飛んできてもおかしくない状態、雨漏りが解決できた後も随分お邪魔した、そして色んなことを指導してくれた、仕事の紹介も何件か頂いた、御厚情に授かったその奥様が昨年急に逝去された、たまに顔を出しているでまさかと思った、知らせを受け当時入院中であったので退院して伺った、奥様のお骨の前で御心経を唱えるも感極まる、いつも心の支えになってくれた御施主様である奥様に心から感謝しているし、ご冥福を衷心よりお祈りしています。
どうせ創るのならば、真剣に良いものを造ってほしいと社員に何時も云ってきた、良い物とは何か、一口で云えばそれはすまい手が『安心して住める』ことです。安心とは強度があり安全な快適な居住空間・低価格それに飽きのこないエレベーション等、すまい手が健康で安心して居られる住まいづくり、それを理解して頂き、すまい手とつくり手との信頼関係が生まれ、お互い感謝の気持ちでこの関係が永遠に続くのです、ある方は子供を紹介してくれたり、ある方は親を紹介してくれたり、ある方は知人を紹介してくれたり、いろんな方たちからの紹介は我が社にとって何よりも本当に嬉しい事なのです、このすまい手の人達の紹介がなければ、我が社の存在は難しくなる。実際に住んでいるし、我が社のことも良く知っている、すまい手の紹介は全てにおいて一番安心できるのです、他社では裁判だたになっている会社も沢山あると聞く、おかげで我が社はそれがないから嬉しいのです。アルプの御施主様コンセルジュのすまい手の皆さん、そしてフジマルマルシェのすまい手の皆さん、ゴルフコンペ・感謝デーや新年会に参加してくれるすまい手の皆さん、それに病気や怪我に対してはドクターのすまい手の方達には健康管理で大変お世話になっています、私自身も5名の専門医の方たちに今もお世話になっています。皆さん方には本当に心から感謝して居ります、この素晴らしいすまい手とつくり手の良い関係がず~と続くことを心から望んでいます。
自然素材に拘る我が社で,自然素材100%の珪藻土塗り壁を高価ではあるが所かまわず使用してきた、20数年前の珪藻土塗り壁は大分で2社だけとメーカーから云われた、全部の壁に使用するのは我が社だけ、それだけメーカーは注目してくれた、2~3年経ち珪藻土の調湿効果や消臭効果それに、微生物を分解する等住空間の空気が非常に良いと住まい手の方から好評を得た、そしてある日突然珪藻土塗り壁に1~2年経って『カビ』が生えたのです、珪藻土を練る時に何かが混入したか解らないまま塗り替えていったが、今度は他の現場からも出始めた、即メーカーに相談したが御社だけですと云われた、今までと練り方も変えていないのにカビが生えた、全棟調査した結果ある2年間だけのすまいにカビが生えていた、さすがにメーカーも来てくれた、そして上塗りの珪藻土を提供してきたが半年も持たずにカビがまた生えた、メーカーと葛藤したが理由が解らないまま、営業マンは変わり上司が変わり、もうどうしようもない時間は過ぎるだけ、このメーカーは責任を取り切らない、もうメーカーを変えようと思った、同等の調湿効果のある安全なものを探した、稚内珪藻土を使った福岡のメーカーが見つかり直接行って確かめた、データーも自社と大学のデーターも出ていた、見ると良い数値だった今使っているのはこの福岡のメーカーです。大変なのが≒30棟、2,000~2500万は実質かかるこの後始末、メーカーが保証してくれないから、我が社でやらなければならないが、これをすぐに塗り替えることは会社が破産してしまうから出来ない、カビを取り大分大学で有毒などの検査をしてもらう、幸い死滅しているのでこれ以上は増えないし体に害はないというがデーターでした、そこでカビが生えた現場の御施主様にお願いした、全棟いっぺんにできない必ず手直ししますということで了解を頂いた、そして昨年中に殆ど手直しが終わったと左官班長から聞いた、6年ぐらいかかった塗り替えが終わり感謝の気持ちを沢山頂いた、やっと肩の荷が下りた、何も言わずに待ってくれた御施主様に心から感謝しています。自然素材は身体や環境に良いが使い方を間違えれば大変なことになるのです、珪藻土の白は何時まで経っても真白なのです、本当に美しく調湿効果や消臭効果・微生物の分解等半永久に保つのです。*先日亡くなった近ちゃん達がこの珪藻土の手直しをしてくれた、近ちゃんも生前このカビの生えた珪藻土を気にしていた、すべて終わったので安堵したと思う。
断熱材にはいろいろな種類がある、一般には充填断熱が多い、今まで使ったことのある断熱材は、グラスウール・ロックウール・吹付ウレタン断熱・サーモウール・炭化コルク・遮熱断熱材・押し出しポリスチレンフォーム・フェノールフォーム・硬質ウレタンフォームなどがある、外断熱にはポリスチレンフォーム・フェノールフォーム・硬質ウレタンフォームが主流ですが、最初は40㎜厚の押し出しポリスチレンフォーム45㎜・50㎜・55㎜・60㎜と使用したが、薄く性能のあるフェノールフォームが出てきた、早速厚40㎜を屋根に使ったが、脆いために厚45㎜にあげる、けどやはり割れる50㎜・55㎜と変えるがやはり我が社向きではない、性能を落とさず圧縮に強い断熱材を模索していると、アキレスの両面アルミ箔貼りの硬質ウレタンフォーム断熱材に行きつく。元々この断熱材は良いと分かっていたが金額が今までよりも高い、10年前ぐらい前から取り入れた、やはり今までの断熱材より安全に施工できた、性能はフェノールフォームよりウレタンフォームの方が若干落ちるが、性能数値に入っていない遮熱効果があるので、実質はフェノールフォームと差がないと思う、寧ろこの両面アルミ箔貼りのウレタン断熱材の方が良いかもしれない。最初は45㎜、それから50mmそして今は61㎜と性能アップして定着している、これに断熱窓や太陽光太陽光発電パネルを組み合わせればZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)になるのです。
我が社の社員で左官班親方近藤 信幸氏(通称近ちゃん)が交通事故で亡くなった、聞いた時まさかと思った信じられない、ただ動揺するだけでした。私より1つ年上で抜群の運動神経の持ち主だった近ちゃんとは30年の付き合い、左官業の会社にいたときに近ちゃんと初めて会った、我が社の下請けで工事をするのを見て、こんな愛嬌のある左官職人もいるんだと思いました、技術もあり何事も前向きな考えをしていた、住宅の外壁が殆どサイジング貼りの中、我が社は外壁モルタル塗りにジョリパット仕上げに拘っていた、西日が差してもムラが出来ない、モルタルが目地を切らなくても割れない工法はないものかと思案していた頃、大分で初めてグラスファイバーネットをモルタルに埋め込むことを提唱したら快く引き受けてくれた、当初は大変な作業でしたが、今はそれが定着して生きた外壁に仕上がった、(サイデイング貼りは同じ型の物を貼るので生きた外壁は出来ない)モルタル下地でジョリパット塗り仕上げは近ちゃんがいないと出來なかった、内部の珪藻土(調湿効果が1番良い自然な物を使用)コテムラなしはものすごく塗りにくく、「こりゃあ普通の左官では塗れない」と云っていた、それは他の左官さんやメーカーからも聞いていた、それを近ちゃんは仕上げてくれた。左官職人はとにかく練り物が乾かないうちに塗らなければならない、それも良いセンスを持っていなくては生きた壁は仕上がらないのです、漆喰壁を塗る時にも6回も7回も薄く塗ることによって素晴らしい仕上げになるのです、近ちゃんは良く言っていた、夏の外壁塗りはすぐに乾くのでほんとに大変な仕事、又天井にモルタルを塗ったりしているのを見て、きれいに天井にモルタルがくっつく、私がある時チャレンジしたことがあるが、すべて落ちるのです、あれは難しいと思った。我が社の社員になっても、文句1つも言わずによく貢献してくれた、御施主様達と良くコミュニケーションを取ってくれた、御葬儀に御施主様有志の生花を見てわかる、御施主様達から好かれていた証拠です。毎週月曜日に清掃活動をしているが、近ちゃんは誰よりも早くごみ拾いをしていた、私が会社に来る途中で必ず会うのです、一寸警笛を鳴らすとすかさず手を挙げて答えてくれる、もうその姿はない、近ちゃんが培ってくれた色々なことを今後思い出すでしょう、惜しくてたまらないが今はただ『ありがとう』の言葉しか出ない。 合掌