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物言わぬ素晴らしいもの

 父親が倒れて今年から田畑を引き受ける事になった、特に田んぼは荒らすと近隣に迷惑がかかる、それ以上に今まで親父やおふくろが培ってきたものをたやすくやめるわけにもいかず、今年は田起こしから肥料や除草剤その他を独りで行った、元々苗植えは毎年私の担当でしたから問題はない、田起こしや代かきは初めてである、見よう見まねでしているとありがたいもので近隣の方がこうした方がいいよ等又差し入れを戴いたり励ましを受けて無事に田植えを終えることができた、昨年は苗がまだらに成長して恥ずかしかったが今年は肥料も気遣いながらやったし、代かきも近隣の人からおそわったりしたので、ムラのない成長が期待できるようです、手を掛けてやるほど良いものはできる、これはものづくりの原点であるし、生き物に対して大切に育てる想いが通じれば、「物言わぬが」素晴らしい物が出来ます。

 何でもやる以上は「良いものを絶対に造る」そうした姿勢が大切と思う、住まいづくりも生き物です、生きた住まいは中に入った瞬間に何とも言いようのない気持ちのよさを感じる事ができる、それは真剣に造った住まいほど増幅してくる。

 木の住まいは本当に難しい毎日一所懸命取り組んでいるが、湿気による収縮やそれどれの育った土地による癖や変形・色合・あく等化粧として使っていくうえで大切な見極めだらけ、1本として同じ物はない、それは自然から生まれたものだからです、毎日違う環境で木は酸素を作りながら成長します、切った後も形がある限りしっかり炭酸ガスを閉じ込めています、どんなものより優れた環境に良い建築材料です、又解体時や施工時に必要とされるエネルギーも鉄骨造やコンクリート住宅から見れば微々たるもの省エネでも断トツです。

 私は昔金魚鉢を木製で造りガラスケースの金魚鉢と同時に稚魚を飼育したことがあった、1週間で大きさ変わりはじめ2週間では相当違ってきました、酸素も入れないで大きくなっただけでなく、なんと氷が張った状態でも越冬できました。

 よく子ネズミで実験したデーターはあります、鉄の箱とコンクリートの箱そして木の箱、勿論1番長生きして大きくなったのは言うまでもなく木の箱でした、生き物はネズミも金魚も自然の中から生まれたのです、自然の中で生きることは何も珍しくはないのです、当たり前の事です、人も自然素材の中でくつろぐ事は自然のなかにいる事と同じように気持ちのよいものです。

 我が家も増築してすごく気持ちよさを堪能しています。

 

 

 

 

 

 

 

継続

 久しぶりに書くというか伝えるというか、私にとってブログはチャレンジです、何故かしら今年に入り覚えることが山ほどあり5月の連休も1日も休まれないそんな日々です、今でも毎日することや新しく覚える事が多く頭脳の回転が悪い自分には大変です。

 皆に言っていることは真剣に作業をしなさい、どうせ1日仕事に出たなら真剣にして皆から好かれ、仕事を早く覚えた方が得ですよ、それを毎日繰り返せばやがて素晴らしい棟梁になるし、多くの人から慕われるようになりますといっています、それは継続するという事ですが、工務店も30年も経てば多くは廃業か倒産しています、工務店の継続は跡取りや後継者の育成を如何に早くから考えているかです、幸い我が社は跡取りがいますかといって安心はしていません、来年は65歳になるがまだまだ若い人に負けたくないから事務職より肉体労働をしたいとそのように思っている、先日も上棟に行って金槌を振ったのですが明らかに耐力や筋力が落ちているのがわかる、棟上げの日はどんなに寒くても暑くても関係はない、目覚まし時計もかけたことはない遠近により5時〜6時には必ず目が覚て朝食を食って出る、月に1〜2回程の棟上げも45年続けた、行かなったのは入院中と出帳の2日のみ、これからも継続していくつもりです。

 ブログの継続は頭が悪いから難しいと思う、なかなか想いを伝えることができないし表現の難しさもあります、ただ何名かの人たちが読んでくれています、そのことを思えばこれからも途切れないように(反省)伝える努力をいたします。

 

 

 

 

目を覚まそう

 

 人類は長い間再生可能な資源の使い方をしてきました、しかし今は自分たちのよりよい快適な生活の為に、山を削り地下を掘り限りなく地球を痛めつけています、快適というプラス面を求めればそれに伴ってマイナスの面が必ずついてくる。

 環境破壊の上に成り立つ物質文明がこのまま進めばやがて人類や自然が行き詰まってしまうのは必至です、どこかでバランスを取ろうという宇宙の動きが必ず働くはずです、近年頻発する災害や異常気象などはそうした自然からの警告なのかもしれません。

西洋のように人間と自然を対立軸で捉えるのではなく、お互いに一体と捉えて融和させていくところに東洋の思想のすばらしさがあるのです、西洋化学は人間が自然をコントロールできるものと考えてきましたが大自然の脅威を前にした人間は限りなく無力です。

 微力ながら私達ができることは再生可能な資源、特に国産の木材を多く使用することです、戦後大量に人口植林した70年物の木材は光合成が相当低下しています、(若木は老木と違って光合成が盛んです)、今伐採をして新しく植林する時期が来ているのです、それでも安い外材の輸入は止まらないのが現状です、メーカーの間柱や桟木は全てホワイトウッドです、構造材は相変わらず米松が主流です。

 我が社は後継者育成と共に国産無垢材を使用することは随分前から取り組んできました、今では若者たちの技術の向上と波長を合わせるように国産無垢材100%の住まいづくりが完成いたしました、このことは元々根本である自然と共生するという事です、逆に自然と遠くなればなるほど人間や生き物のすべてがストレスを感じ身体の不調が増幅するといわれています。

 環境・省エネ・健康にバランスの取れた自然素材100%の住まいは今では非常に価値のあるものです、住まわれた御施主さまからアトピーや喘息・花粉症がでなくなったなど又生け花や切り花が長持ちするし正月のお餅にカビが生えないなど沢山良い話を聞いています、自然の中から生まれたすべての生き物は自然の中で生活するのが当然一番いいのです、「人」が「為」すことは「偽り」なのです、今がよくても必ずしっぺがえしが来ます。

 これから起こるであろう自然災害に対しても先を読み、真剣になって対応する住まいづくりに邁進する所存です。

新春

 あけましておめでとうございます。今年も若い社員たち共々よろしくお願い致します。

昨年の下半期は倒れた父親の事で背一杯でしたが、奇跡的に快方に向かっています、年を重ねるとリハビリも大変とは思いますが、子としてできるだけの事をしてあげ、家のほうも守っていかなければと思っています、そして大事な仕事も当然こなさなければならない、今天が乗り越えるための試練を与えてくれた・・・そう思いながら今年も真剣に努力をするつもりです。

 昨年は本当に怪我がなく1年が終えました、受注面では上半期が悪く下半期になり住まい手の方達より紹介が一気に増えました、それは本当に心余るもので感謝の気持ちでいっぱいで責任をより以上感じます。

 自然素材ぐらい難しい建築材料はありません、一本としてまったく同じ材料がないからです、それと同時に乾燥材といっても3〜5年も自然乾燥していても、全てバラバラです、そうした材料を棟梁たちが適材適所に使って行くのです、当然年期の入った人や真剣になって取り組む人たちだけしかそれはできません、長持ちする価値のあるすまいはそうした努力の結晶と思っています、我が社は全国でも数少ない手づくり・手加工の出来る優秀な職人集団を築き上げたく一所懸命真剣に頑張っています、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

この道47年の終わりに

 今から47年前、適職を模索するというより、何がしたいどんな職業に就きたいとか言う理性も乏しく、家庭の事情や両親の考えのほうが強いものがあってこの道に入ってきたように思う。

 3人兄弟の長男に生まれ下の二人は家で祖母が子守し、長男のわたしは寒さ暑さ関係なく田畑に連れていかれ、一所懸命働く両親の後ろ姿を見て育った、紐でくくられ動けなかったために退屈で夏は苦にならなかったが、冬は流石に寒く畑の傍らは霜柱でいっぱい、早く帰りたかった思いがある、こんな日々が当たり前で小学校〜中学校の間は、冬は集団でかまどや風呂の焚き木をナタで切ったりしてそれを竹の縄でくくって持って帰る、夏は陽が登る前に家畜の餌を鎌で刈りに行くそれから登校していた、刃物を使ったりしていたので怪我や傷はショッチュウあった、そのため左手にはいまでも無数の傷跡が残っている、中学は農繁休暇もありそれを親は期待していたので背一杯働いた、早く社会人になり両親を楽にさせてあげたいそういう想いがいっぱいだった、当時の長男教育はそうしたものです。

 専門学校を出て個人の大工棟梁に弟子入りするのが当たり前の時代でした、私も同じように弟子入りした、いよいよ修行に出ていくときに両親から言われたことは、時の挨拶と皆に「お世話になります」「お世話になりました」・・・と必ず云うんだぞsmiley、上棟や新築祝いで酒肴品を戴いたとき「ご馳走に成ります・ご馳走様でした」のお礼の言葉は勿論、次の日もまた次の日に逢わなければ何日・何週間・何カ月経っても感謝の気持ちを忘れずに「昨日はご馳走様でした」「先日はご馳走様でした」「何時ぞやご馳走に成りました」ご馳走になった恩を忘れずに仕事で恩を倍返ししていきなさい・・・この事だけは何回も云われた、因みに子供の頃は勉強しろとは一度も言われた記憶がない、今も若い人たちにこの感謝の気持ちをまず言葉で表す様しつこく言っている、やがて感謝の気持ちが心に宿る日が来るでしょう。

機械には出来ない職人一人一人の手作業にしかできない事は沢山ある、特に自然素材を使う住まいづくりは、生かすも殺すも豊かな心を持った職人たちの肩にかかっている。

 47年経った今試行錯誤の上ようやく人が集まり留まってくれるようになり工務店らしくなって来ました、今年も残す後僅か良い家とは「暮らしを楽しむ事の出来る生きた住まい」、この想いをみんなで共鳴しあい来年は今年以上に心を磨きたい。     感謝